2010年10月アーカイブ

学年集会

どうやら飯島は先日の合否判定後に私が泣きはらした顔をしていたのを見て、
何か野暮で気の利かないことを言ったらしかった。
私は飯島が何と言っていたのか全く覚えていなかったのだが、
飯島の書いたその手紙を読んで思わず笑みがこぼれた。
相変わらず文末の空いたスペースには得意のイラストが描かれていた。
 
冬休みを前にしてその年最後の学年集会が行われた。
独特の汗臭さが充満する柔剣道場に集まった生徒たちの多くがどんよりとした顔をしていた。
皆、目前に迫ったセンター試験の追い込みで疲れ切っている様子だった
誰かのゴホゴホという咳の音に反応して、クラスメートの内野が神経質そうな顔をした。
「風邪、うつすなよ・・・。」と呟きながらポケットに入れていたと思われるマスクを充てていた
なんでも内野は家の中でも自分一人だけマスクをして過ごしているらしかった。
集会では冬休み中の過ごし方やセンター試験においての注意事項なんかが述べられていた。
この時期になると推薦やその他で進路が確定している生徒も見受けられるようになり、
3学期からは受験対策用の課外授業のみが行われる予定だった。
その場合3年生はほとんど自由登校になるため今回の学年集会が最後となるはずであった。

女子

26組はクラスのほとんどを男子生徒が占めており、女子生徒は少数だった。
しかしクラスの女子は皆さっぱりとした人間ばかりで、
女子特有のべったりとした関係が苦手な自分には非常に居心地がよかった。
男子生徒と仲良く会話をしていても「あいつら怪しい」のような面倒くさい噂が立つようなことも一切なかった。
しかしやはり十代であるし、色恋沙汰な出来事も多少はあるだろうと思っていたが、このクラスに関しては全くなかったと思う。
もしかしたら、自分が知らないところではあったのかもしれないが、
少なくとも自分は気付いていなかったし、気付いていたとしても恐らく何の感情も興味も湧かなかっただろう。
 
女子特有の性質が苦手だった自分ではあるが、実のところ、自分自身は高校1年生の間、非常に女々しく、
男の視線をかなり意識した、面倒臭い人間だった。
校則が厳しい中でも髪を伸ばし、それをポニーテールに結い、校則違反にならないギリギリのタイプのリボンをつけていた。
そしてサッカー部のマネージャーというポジションに付き、男子に媚を売るような学校生活を送っていた。
別に彼氏が欲しかったわけではない。彼氏なら他校にすでにいた。中学からの付き合いだった。
女々しい自分が形成されていたのはこの彼氏の存在が大きかったように思う。

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